瓦屋根は漆喰工事が必要!その理由、工事のタイミングは?
投稿日:2024年3月11日
半永久とも呼ばれる寿命を持つ瓦屋根はメンテナンスが不要という誤解をされている方がしばしばいらっしゃいます。
瓦屋根を構成する下地や銅線は定期的にメンテナンスをする必要があり、その中でも劣化しやすいのが漆喰です。
この記事では漆喰工事が必要な理由や工事を行うタイミングの見分け方を紹介します。
瓦屋根にお住まいの方はぜひご参考になさってください。
漆喰工事とは
瓦屋根は野地板の上に防水シート、さらにその上に葺き土を敷いて屋根瓦を密着させる構造になっています。
そして、棟瓦を載せることで瓦屋根が完成します。
漆喰は瓦同士や棟瓦、屋根瓦の隙間を埋め、繋ぎ止めるために用いられています。
また、葺き土に雨水が浸透せず雨漏りからお住まいを守っています。
ただ、漆喰は年月が経つにつれて劣化するので定期的にメンテナンスをする必要があります。
具体的には既存の漆喰を剥がして新しい漆喰を詰め直す工事が多いです。
漆喰工事が必要な状態
漆喰工事はいつ行うのがベストなのでしょうか。
基本的には劣化の初期症状が見られてきたタイミングで実施するのが経済的に無駄がありません。
定期的に業者に点検をしてもらい、劣化が確認できた時点で漆喰工事をご検討ください。
ここでは漆喰工事のタイミングを見分けるために役に立つ漆喰の寿命と劣化症状を紹介します。
漆喰の寿命が来たとき
漆喰の寿命が来たときには漆喰工事を検討しましょう。
漆喰の寿命は一般的には約15年~20年と言われています。
ただし、前回おこなった漆喰工事の品質や建物の環境によっては上記の年数よりも早く劣化することもあります。
15年未満でも工事をすべき場合もあるので、10年を過ぎたあたりから定期的に業者に点検を依頼することをおすすめします。
漆喰の劣化症状が発生したとき
漆喰工事は年月に関わらず漆喰の劣化が見られたときには早めに実施しましょう。
漆喰の劣化症状として典型的なのが以下の3つです。
・剥がれ ・ひび割れ ・欠け |
長期間に渡って紫外線や雨風に晒され続けると、漆喰の表面が剥がれて均一でなくなったり、ひび割れなどの症状が見られるようになります。
さらに状態が悪くなると欠けてしまって漆喰に穴が空くこともあり、そこから雨水が入って雨漏りに発展することもあります。
できれば剥がれやひび割れが見られた時点でできるだけ早めに漆喰のメンテナンスをしましょう。
棟瓦の劣化症状が見られたとき
棟瓦は屋根の一番上に設置されている瓦です。
棟瓦に以下のような症状がある場合には漆喰工事を急いだ方が良いでしょう。
・ずれ ・歪み |
漆喰が劣化して瓦がずれてしまったり、歪んでいる場合には棟瓦の取り直し工事も必要です。
取り直し工事は一度棟瓦を外し、また設置し直す工事のことです。
漆喰工事と同時に施工できます。
雨漏りや屋根瓦の脱落が発生したとき
漆喰や棟瓦のメンテナンスを怠ると、雨漏りや屋根瓦の脱落を起こります。
そのようなきっかけにより、漆喰工事をご依頼される方も多くいらっしゃいます。
天井から雨水が落ちてきたときには、原因の1つとして漆喰の劣化を疑いましょう。
屋根瓦の脱落についても同様です。
必ずしも漆喰が原因とは限らないのも確かですが、漆喰が割れているなら葺き土が流れて屋根瓦が脱落しやすい状態になっている可能性があります。
漆喰工事の費用相場
漆喰工事は詰め直し工事が一般的です。
早い段階で漆喰の劣化に気付くことができたら、棟瓦の取り直し工事は不要で漆喰の詰め直しをするだけで良好な状態にできる可能性が高いです。
漆喰の詰め直し工事は1mあたり、およそ4,000円~5,000円くらいが相場です。
ただ、劣化がひどくなり、棟瓦がずれているような状況になると棟瓦の取り直し工事が必要になります。
棟瓦の取り直し工事では1mあたり、およそ10,000円~15,000円がかかるのが一般的です。
経済的に考えても劣化症状を早めに見つけ、漆喰の詰め直し工事で済ませるといいでしょう。
詰め増し工事に注意!
漆喰工事では詰め直し工事ではなく、詰め増し工事を提案する業者もいます。
詰め直し工事とはもともとの漆喰を撤去して新しい漆喰を詰め直す工事。
詰め増し工事とは漆喰を上から追加して補修する方法です。
イメージとしては「ひびや欠けを補修できるなら詰め増し工事で十分」と思われるかもしれません。
しかし、詰め増し工事だと古い漆喰が残るので、すぐにひびや欠けが発生します。
詰め増し工事は作業工数が少ないので安価であり、短時間でできるのは魅力です。
ただ、応急処置にしかならないため漆喰工事は詰め直し工事を基本として考えましょう。
漆喰の詰め直し工事の流れ
先述したように漆喰の詰め直し工事は古い漆喰を撤去し、新しい漆喰を詰め直す工法です。
ここでは一般的な詰め直し工事の工程を紹介します。
①足場を組み立てる
漆喰工事では安全に作業するために足場を組み立てます。
職人の落下事故を防ぐため、また、職人が安心して作業をすることで技術が最大限発揮できるので高品質な工事ができます。
②古い漆喰を撤去する
古くなって劣化している漆喰を撤去します。
「捲り(めくり)」と呼ばれる作業で、下地が見えるまでもとの漆喰を丁寧に撤去します。
③下地を調整する
漆喰を撤去したら下地を調整します。
屋根瓦のずれが見られたときには修正します。
④葺き土を湿らせる
葺き土は完全に乾燥していると密着性が悪くなるため、刷毛を使用して水分を適度に含ませます。
漆喰の密着性を高めてることで剥がれにくく長持ちします。
⑤新しい漆喰を詰める
下地が整ったら新しい漆喰を詰めます。
新しい漆喰は厚すぎず薄すぎないように詰める必要があります。
⑥足場を解体する
漆喰を詰め終わったら確認作業や清掃をして足場を解体して完工です。
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